- - 百聞は一見に如かず - - |
- - 現場はどうなっているのか? - - |
そもそもの理由は 現場をこの目で見たい!の一言であります。まだ現場を見た事が無く しかも夏場のうなぎに発した中国製品の安全性を疑う流れもあり 今がチャンスと思うようになりました。
そら豆の本場は 張家口という北京から北西に300kほど離れたところにあります。張家口といってもかなり広く その生産拠点が点在しており 工場がこの年末の忙しい時期に稼働しているのか?まず 見せてくれるのか? 無事にたどり着けるのか?はてさて 不安はいっぱいでは ありますが ここはまず行かなくては始まりません。 |
- - とにかく張家口だ! - - |
ボクは 話を聞いたり映像を見るだけでは ピンと来ないタイプで すぐに忘れてしまう。しかも勝手な想像を加えて自分で解釈するので 間違って記憶している事が多い。わからん事は その場で聞きゃいいんだけど 細かい事まで聞くのが気がひけるというか なんとなくそのまま流してしまう。そんで 後々から しまった 聞けば良かったと反省する。こんなコトを繰り返していたけど 今回は何としても現場に行きたかった。
この時期に 張家口に行っても何にも無いよ と助言してくれるヒトもいる。おっしゃる通りで観光などの見所を考えると 何にもない。何にも無くてもいいから行きたい。絶対に行きたい。そんなわけで 年末の地面が凍る張家口を目指す旅が始まります。 |
- - まず準備 - - |
国内旅行すら めんどくさいと言い切り観光など一切しないタイプである。(どこいっても一緒のタイプかみさん談)今回も周囲に張家口さえいければ もういい。あとは どうでもいい。豆の現場さえ押さえられたら それで大満足ですと。言い 観光その他は一切しないつもりであります。しかも海外旅行なんぞ 段取りから知りません。まずパスポートや航空券などを準備していく。
北京の気温が 最低気温−5℃だと知る。しかも張家口は もっと寒いと聞かされる。モモヒキやカイロが 必需品であります。普段は ほとんどカイロなんぞ使わないけど 大量に持参する。モモヒキやババシャツなんぞ格好わるくて着れるかい!と最初は言っていたけど 結局持って行くことにした。事実これらの防寒着は 大変に役にたった。中国人はみんなモモヒキは はいていると思う。女性でスカートをはいているヒトを ついぞ見かけなかった。ぴたっとしたジーンズをはいて膝丈のブーツと格好がほとんどであります。ブーツは こういうところでは必需品なんだろうね。今度来るときは ボクもブーツにしよう。足先のしびれるような寒さはたまらないもんがありました。 |
- - いざ出発 - - |
年末おさめの出荷分の配達を 家族の者にまかせて いざ出発。この年末の一番忙しい時期に店を空けるのはちょっと厳しいけど 大体の段取りはついているので大丈夫だろう。まず関空へバスで移動。ここでまず3時間かかる。遠いねえ関空は。今回は関空発だけど 岡山空港で上海経由や広島空港発もあり 帰路の事を考えるといろんな選択肢がある。
日程があうなら 高松のヒトは岡山空港発がベストでしょう。車も無料で駐車できるし、帰りの時間が遅くても大丈夫だし。ただ 瀬戸大橋が止まるほどの台風がくるシーズンは心配だけど そんなときは飛行機も飛ばないので無用の心配ですね。 |
- - 関空着 - - |
とにかくめちゃくちゃに混んでる。ようやく手続きを済ませ 食事へ向う。隣のビジネスのカウンターはガラガラなのに受け付けてくれない。こんだけ並んでんのに 融通が利かない。それだけ高い料金を払っているということか?70がらみのおばあちゃんが2人で そのカウンターに向って行った。間違っているじゃない?と心配したが ファーストクラスのお客らしくモノの2分とかからず手続きを終わっていた。いいねえ ファーストクラスは。 |
- - なぜか ファーストクラスへ - - |
すると アナウンスがあり私が呼ばれている。カウンターに来いという。慌てて行くと 誠に恐れ入りますが 本日席が混合っております。お席をファーストクラスの変更させていただきます。誠に恐れ入ります。など言われた。
そう ダブルブッキングであります。年末の恒例のジャンボ宝くじよりも嬉しい大当たりです。50人ぐらいが 並んでいる列を横目に 先に搭乗させてもらった。なんか 恥ずかしかったねえ。本物のファーストのお客は一組だけだと思う。そうおばあちゃん2人組です。 |
- - 北京空港はのんびり屋 - - |
専用のバスで一足早くロビーにつき 出国カード等を提出。後は荷物なんだけど 出てこない。通常手荷物は 預けない方がいい。今回は お土産等がかさばり荷物を預けた。本物のファーストクラスなら すぐ出てくるのだろうけど ここで元に戻る。たっぷりと30分ほど待たされる。しかも寒いねえ。中国人のシュウさんとここで合流。ようやく出てきた荷物を片手に タクシーに飛び乗る。しかし ここでも渋滞があり1時間以上かかって ようやくホテルについた。 |
- - ホテルは快適 - - |
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- - とりあえずは 晩飯 - - |
お腹がすいたので 近くに旨い店があると シュウさんがいった事のあるお店に晩飯を食いに行きました。典型的なファミリーレストランという感じです。内装もいかにも中華という感じ。欧州人が多かったです。味は もひとつです。まずいと断言するとカドがたつのだけど まずい。(シュウさんすいません)ボクは中華料理の本場ですので期待した部分が多かっただけに ちょっと落ち込んだ。日本食はおろか 携帯のあめ玉すら持ち込んでいない。帰りのタクシーでコンビニとマックとケンタッキーを確認した。それほどのダメージでした。 |
- - ホテルの朝食 - - |
晩飯が 空振りに終わっての朝食です。腹は減っているだけど 要警戒のイメージがつきまとう。青島ピンビール(冷えたビール)以外は 注意しないといけない。朝からビールなんぞ飲める訳もなく コーヒー周辺で様子をうかがう。
バイキング方式で どこにでもあるスタイルです。みんなが食べている皿等を覗きながら 慎重に選ぶ。そんなに神経質にならなくてもいいのだけど。食べると 普通に食べられる。平和な味と申しましょうか。安心して食べられる味であります。ここで とりあえずしっかりとエネルギー補給をしました。 |
- - いざ張家口へ - - |
この運転手さんは 安全運転で ほとんど路肩を走らない。追い抜きも無理をしない。良かった。当たりの運転手さんです。張家口のインターまで2時間かかる。生産拠点はそこから1時間ぐらいはかかる。いよいよ 現場を見るときがきた!ボクは この日をいよいよ楽しみにしていた。嬉しくて仕方ない。かなりのハイテンションであります。同行人およびシュウさんは 何にもないコトを悟っているのかきわめて冷静で 普通であります。前日に過度の期待はしないようにとも釘を刺されるほど 田舎を目指しているのは 何となくわかった。 |
- - 渋滞ライフ - - |
ただ どう見ても50kmぐらいしかでないようなトラックもあり、ホイールのナットが脱落しているトラックもあります。こわいねえ。北京郊外は かなりの建設ラッシュであちこちで大型施設が建設中でした。近代的な工法ではなく 人海戦術で壊して作る。30年ぐらい前のやり方です。効率が悪いように思えますが これでも十分間に合うほどにヒトがいるようです。インターに乗ってものの5分でかなりの田舎になります。民家もまばらで ヒトを見かけない。高速道路を掃除しているヒトがたまにいるくらいで ほとんどヒトを見かけません。しかも どんどん寒さが厳しくなっていきます。途中でおしっこが我慢できなくなり 路肩でしてしまいました。(おいっ!)ガードレールについた瞬間凍っていきます。あまりの寒さと突風で顔が引きつりました。
ちなみに 料金所ではこちらのレーンも渋滞で 割り込んでいかないと取り残されていきます。この辺は運転手さんも頑張ってくれて なんとか前に進んでいきました。北京を出るには通行証が必要らしくて 前もって準備してくれていたので すんなりと通過できました。 |
- - 念願の張家口着 - - |
それから50分ぐらいその景色が続く。下道といっても80kmぐらいは常時出ている。ときどき市場みたいな フリマーケットもありヒトがわらわらといるけど 後はほとんどいない。牛や馬を放牧させているため あちらこちらで 走っている。想像以上に田舎のようです。 |
- - Donot think feel!(byブルース・リー) - - |
そこには 1000tレベルでそら豆が保管されていた!この目で現場を見よう 現物に触れよう。理屈ではない。いった者だけがわかる感覚である。生の感覚がどれほどに鮮烈か。長年の夢であった張家口でそら豆とのご対面である。興奮しきりであります。難しい理屈や感想は要らない。肌で感じるだけである。実際にどうなっているかを体現しているのといないの差である。 |
- - モノはいい。 - - |
風景から察するに 原始的な農法だろうと思われましたが 想像をはるかに超えるレベルでした。未選別の農家から出荷されたばかりのモノは 日本ではお目にかかれないものでした。枝や葉っぱや色つき変形 粒の大小 虫食いなどなど。もうここから選別品を作るのは かなりの手間です。日本では機械を組んでそれなりに処理するでしょう。それでも虫食い色焼け等の選別は不可能です。しかし ここは中国張家口。原始的な方法で手間をかけながら 選別していきます。
ボクは未選別の現物をみて嬉しくなりました。いわゆる主産地の崇礼県にもいきました。標高高いところでそら豆は収穫されます。水路なんてなく いわゆるほったらかしです。できたら手で収穫です。機械等ありません。今回は 収穫期ではないので 実際の畑にはそら豆はありませんでしたが どの倉庫にも1000t単位で貯蔵されています。まさにいま選別中で 寒い中でも手選別では人海戦術で選別されていきます。 |
- - まず 機械選別 - - |
しかし大きさだけですので 葉っぱや変色 虫食いは そのまま通過します。このままでは 使い物になりません。人海戦術で 手選別の行程に移ります。しかし 寒いです。マイナス何度でしょう。厳しい寒さのなかの作業は 本当に大変です。 |
- - 手選別 - - |
会社の体質と言うか社長の性格というか コレは日本の会社選びでもそうだけど 実際に工場を見せてもらえるとよくわかる。製品に対する姿勢 製造に対する姿勢であります。なんぼ 社長がヒトが良くても製品に反映しなくて 何にもならん。いいモノを作りたければ それなりの覚悟が必要。製品で売っていくには それは何よりの必要絶対条件であります。この温度差こそ 商売の基本です。浪花節の古き良き商売の まかしたぜ大将!ようがす旦那! なんて言う風景は日本にはもうない。
後でみた工場は まさにそのタイプで 僕らの要求する選別基準を10秒も見なかった。値段で売る。つまり安けりゃいいのなら ここまで来ない。来るはずがない。製品に対するこだわりがあるからこそ ここ張家口まできたのである。同じ選別工場でも製品に対する姿勢が モノを大きく左右する。近寄っても見向きもしないで選別しているおばちゃんには 好感がわいた。一日に大体一人300kgぐらい選別する。コレは 慣れたボクのような豆屋と同等レベル。ただより出す対象が違うので おばちゃんと簡単には 比較できない。
それなりの暖房が効いているとはいえ 快適とはほど遠い環境で選別を正確にこなすおばちゃんはすごいです。ボクが思うにあまり温度を上げると豆に影響があると思う。日本での保管にしても 必ず低温倉庫を使用する。豆が日焼けしていきます。日光は もちろんNGなんだけど 気温もそう。あまり室温を上げていないのは そのためかもしれない。それにしても 室内でコレはキツい。といっても これ以上温度を上げる設備はないのが 現状。かろうじて 事務所のみが ボクなんかがしのげるレベルです。 |
- - 機械選別 - - |
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- - 特撰の品質を要求 - - |
ボクの経験上最高品質になるのは間違いない!どこを見ても こんなのないぜ!いやったーー!張家口にきて良かった。最高に良かった。豆屋にしてみたら 最高の一日になる。嬉しくて仕方ない。日本に戻ったらいいもんが出来る。コレだけで 今回の旅は満足であります。もう最高!寒くても最高! |
- - 工場もいろいろ - - |
先方の社長はおもむろに 張家口名産のウォッカを箱を取り出す。封を開け さあ乾杯だと言う。強烈なアルコール臭がただよう。粘度が高く とぷりとぷりとグラスに注がれる液体を眺めつつ コレは飲まないと失礼だろうと考える。同行人もシュウさんももう仕方ないという合図を送ってくる。
一口飲んで その強烈さに目をむく。コレはキツい。アルコール度数もキツいけど 臭いもハンパ無くキツい。こっちは寒いからこんなきっついのを飲んでるのか?目のまえにある酒は飲んでしまうダボハゼ筒井も コレには降参です。なんでこんなのストレートで飲んでんの?チェイサーをバケツで持って来い!生水でも今なら飲みます。頼むけん水をプリーズです。
かろうじて1パイを飲み干すと ふらふら。しかも昼飯抜きの午後3時。いっぱいめにこの酒がくるとは 厳しい。価格の話をしているけど よくわからない。ドル建ての計算で 電卓を操作するけどボタンを押し間違えること数回。こりゃだめだ気分悪くなってきたと 気を抜いていたら2杯目が注がれていた。3杯空けないといけないらしく たまらずトイレに逃げる。
外にある豆をながめつつ いやーこりゃ退散しよう等と作戦を考える。酒は好きだけど あの酒を飲んだらもう今日は終了だなー。明日は多分二日酔いにだな。いろんな事を考えながら 極寒の吹きさらし野外トイレで用を済ます。同行人があまり酒を飲まないのを知っているので 腹を決めて部屋に戻る。すると飲まないはずの同行人が 3杯飲んだのでもう帰ってもいいとの事。このあと この人は延々4時間以上うなされる。(笑)気の毒に思えたが 自分も頭痛がヒドく大変でした。
この中国人社長は私が買わない様子を察して すぐに解放したようです。そのあとは まったく相手にせずで この辺はまことに中国人らしい対応です。(笑) |
- - 見本を眺めながら - - |
また 製品もいいモノが手に入ったのも幸運だった。百聞は一見に如かずというけど まさにその通り。体現しなきゃわからんもんです。もう一度行けと言われたら ボクは喜んでいくけど 同行人はもういいと言っていた。そのくらい ないにもない環境でしたが 豆屋のボクにとっては何モノにもかえがたい貴重な経験でした。
この機会を与えてくれた関係者や同行人、シュウさんや自分の家族には 深く深く感謝しております。謝謝。 |